有責配偶者 離婚請求が認められる条件と慰謝料
有責配偶者からの離婚請求が認められる条件
有責配偶者とは、婚姻関係を破綻させた原因を作った配偶者のことです。一般的に、有責配偶者からの離婚請求は認められませんが、例外的に以下の3つの条件を満たす場合に限り、離婚請求が認められることがあります。
相当長期間の別居
- 別居期間が長期にわたることが必要です。具体的な期間はケースバイケースですが、7年から10年以上の別居が長期間と認められることが多いです。
未成熟子の不存在
- 夫婦間に未成熟の子供がいないことが条件です。未成熟子がいる場合、その子供の福祉が優先されるため、離婚請求が認められにくくなります。
相手方配偶者が離婚により苛酷な状況におかれないこと
- 離婚によって相手方配偶者が精神的、経済的に苛酷な状況に置かれないことが必要です。例えば、相手方が重い病気や障害を持っている場合、離婚請求は認められにくいです。
離婚請求が認められた判例
いくつかの判例を通じて、どのような条件で有責配偶者からの離婚請求が認められたかを見てみましょう。
- 東京地判平成14年5月31日
- 結論:請求棄却
- 理由:相手方配偶者が離婚により苛酷な状況に置かれると判断されたため。
- 最大判昭和62年9月2日
- 結論:破棄差戻
- 理由:相手方配偶者が離婚により苛酷な状況に置かれると判断されたため。
- 東京高判平成元年11月22日
- 結論:請求認容
- 理由:相当長期間の別居が認められ、未成熟子がいないこと、相手方配偶者が苛酷な状況に置かれないと判断されたため。
慰謝料の請求
離婚に至る原因を作った有責配偶者に対して、精神的苦痛を被った他方の配偶者は慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は、以下の要素によって決まります。
- 有責行為の内容と程度
- 不貞行為、DV、悪意の遺棄などの行為が該当します。
- 精神的苦痛の程度
- 精神的苦痛の大きさに応じて慰謝料の金額が変わります。
- 婚姻期間
- 長期間の婚姻関係が破綻した場合、慰謝料の金額が高くなる傾向があります。
慰謝料請求の具体例
- 不貞行為
- 証拠:ラブホテルの領収書、メールやSNSのやり取り、写真や動画など。
- DV・モラハラ
- 証拠:診断書、怪我の写真、警察への相談記録、録音など。
- 悪意の遺棄
- 証拠:生活費が振り込まれなくなった事実がわかる通帳、家計簿、住民票、賃貸借契約書など。
まとめ
有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、相当長期間の別居、未成熟子の不存在、相手方配偶者が苛酷な状況に置かれないことの3つの条件を満たす必要があります。また、離婚に至る原因を作った有責配偶者に対しては、精神的苦痛を被った他方の配偶者が慰謝料を請求することができます。具体的な証拠を揃えることが重要です。
離婚問題に直面した場合は、専門の弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、適切な証拠の収集や慰謝料の請求手続きについてサポートしてくれます。