日本性科学会と離婚の関係性とセックスレスカップルの実態

日本性科学会の調査によるセックスレスと離婚の関連性について解説します。セックスレスが増加している日本社会において、夫婦関係の悪化や浮気につながるケースも。あなたの夫婦関係は大丈夫ですか?

日本性科学会と離婚の関連性

セックスレスと離婚の現状
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増加するセックスレス

日本性科学会の定義では、1ヶ月以上性交渉がないカップルをセックスレスと定義。現在の日本では既婚カップルの約半数がセックスレス状態にあります。

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離婚リスクの上昇

セックスレスは配偶者への愛情低下や離婚願望の増加につながり、浮気や不倫のリスク要因となることが調査で明らかになっています。

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世代別の実態

年齢が上がるにつれてセックスレスカップルは増加傾向。20代で11%、30代で26%、40代で36%、50代で46%がセックスレス状態にあります。

日本性科学会によるセックスレスの定義と現状

日本性科学会によれば、セックスレスとは「病気など特別な事情がないのに、1ヶ月以上性交渉がないカップル」と定義されています。しかし、一般的には「カップルのうち、どちらかがセックスをしたいと望んでいるのに、長期間それができない状態」を指すことが多いようです。

 

最新の調査によると、日本の既婚カップルにおけるセックスレスの割合は驚くべき数字を示しています。ジャパンセックスサーベイ2020の調査結果では、20~49歳の既婚男女のうち、セックスレスのカップル割合は51.9%に達しています。つまり、2組に1組以上の夫婦が実質的にセックスレス状態にあるということです。

 

また、都道府県別のデータを見ると、47都道府県中、21都道府県が月に1回未満のセックスレス状態であることが明らかになっています。この数字は日本社会全体における夫婦の性生活の実態を如実に表しているといえるでしょう。

 

セックスレスから浮気へと発展するメカニズム

セックスレスは単なる性的な問題だけではなく、夫婦関係全体に大きな影響を及ぼします。調査によると、セックスレスの状態が続くと、「レスされた」と感じる側が浮気や不倫に走るケースが増加する傾向があります。

 

特に注目すべきは、日本性科学会の発刊する日本性科学会雑誌の2012年調査結果です。2000年調査と比較すると、全くセックスをしていない人の割合が「4人に1人」から「2人に1人以上」へと著しく増加しています。それと同時に、配偶者以外の異性との親密な交際が男女ともにほぼ3倍に増えているという事実が明らかになりました。

 

この相関関係は、セックスレスが夫婦間の絆を弱め、その結果として配偶者以外に親密さを求めるようになるというメカニズムを示唆しています。浮気は単に性的欲求の問題だけでなく、情緒的なつながりや承認欲求の満足を求める行動としても理解できます。

 

日本性科学会の研究から見る離婚の心理的影響

浮気が発覚した際の心理的影響は非常に大きく、多くの場合、離婚を考える重大な契機となります。精神科医アンナ・フェルズ氏の研究によれば、浮気をされた人が最も傷つくのは、実は性的な裏切りそのものではなく、「嘘をつかれたこと」だと言います。

 

これは「記憶」と「現実」の乖離によるものです。パートナーの浮気が発覚すると、それまで二人で築いてきた夫婦の歴史が信じられなくなってしまいます。例えば、パートナーの帰りが遅い日に仕事の付き合いだと信じていたことが、実は浮気相手と会っていたという現実を知ることで、過去の記憶の解釈が根底から覆されてしまうのです。

 

人間は自分の過去について一貫性のある解釈をしたがる生き物です。これまでの経験や記憶から「自分とはこういう人間で、自分の人生はこういうもの」という物語を作り上げています。しかし、浮気の発覚によって、これまでの自分がつむいできた物語が信じられなくなり、人生の一貫性が失われることが最も大きな心理的ダメージとなるのです。

 

セックスレスの原因と日本性科学会の分析

セックスレスに至る原因は多岐にわたりますが、日本性科学会の調査によると、いくつかの主要な要因が浮かび上がってきます。

 

まず、年齢による影響は無視できません。日本では夫婦が歳を重ねると性的に積極的であることを恥じる風潮があり、「高齢者となってなお頻繁に性交渉があることは恥ずかしい」という感覚が、特に高齢層のセックスレスを助長しています。

 

また、性別によってセックスレスへの不満度も異なります。調査によれば、夫の2人に1人(54.5%)、妻の3人に1人(37.1%)がセックスレスに不満を感じているという結果が出ています。この差は、性的欲求の違いや社会的役割の違いなどが影響していると考えられます。

 

夫婦生活が無くなる最初のきっかけとしては、以下のような要因が挙げられます。

  • 容姿の劣化や体型の変化
  • 出産後のホルモンバランスの変化
  • 仕事や育児による疲労やストレス
  • コミュニケーション不足
  • 女性の閉経による性交痛(50歳前後)

特に女性の場合、閉経後は性交痛が生じやすくなり、それがセックスレスの一因となることがあります。しかし興味深いことに、愛情に満ちあふれ、質の高い性生活を送る夫婦は70代でも痛みが少ないという研究結果もあります。

 

日本性科学会から見る離婚を回避するための対策

セックスレスが原因で離婚に至るケースを防ぐためには、いくつかの対策が考えられます。日本性科学会の研究や専門家の知見をもとに、以下のような対応策が効果的とされています。

 

  1. オープンなコミュニケーション

    セックスレスの問題を解決するためには、まず夫婦間で率直に話し合うことが重要です。お互いの気持ちや希望、不満を正直に伝え合うことで、問題の本質を理解し合えるようになります。

     

  2. 専門家への相談

    セックスレスの問題は複雑化する傾向があります。単純な緊張性の問題だけでなく、性格や対人関係の持ち方などに深く根差したものが増えています。そのため、セックスカウンセラーや夫婦カウンセラーなど専門家の助けを借りることも有効です。

     

  3. 愛情表現の多様化

    性行為だけが愛情表現ではありません。スキンシップ、言葉での愛情表現、一緒に過ごす質の高い時間など、様々な形で愛情を表現し合うことで、夫婦の絆を深めることができます。

     

  4. ライフステージの変化を受け入れる

    年齢を重ねるにつれて、身体的な変化や性的欲求の変化は自然なものです。これらの変化を受け入れ、その時々のライフステージに合った夫婦関係を模索することが大切です。

     

  5. 「物語の再構築」

    浮気が発覚した場合、最も重要なのは「物語の再構築」です。過去の記憶と現実の乖離を埋め、新たな一貫性のある人生の物語を作り上げていくプロセスが必要になります。これには時間と努力、そして場合によっては専門家のサポートが必要です。

     

日本性科学会の学術論文が掲載されている電子ジャーナルサイト - セックスレスに関する最新の研究成果を確認できます
セックスレスは単なる性的な問題ではなく、夫婦関係全体に関わる複雑な問題です。日本性科学会の研究によれば、セックスレスは配偶者への愛情の低下や離婚願望の増加につながる可能性があります。しかし、適切な対応と理解によって、多くのカップルがこの問題を乗り越え、より健全な関係を築くことができるのです。

 

夫婦間の性生活は、単に肉体的な満足だけでなく、情緒的なつながりや信頼関係を深める重要な要素です。セックスレスの問題に直面している場合は、パートナーとのコミュニケーションを大切にし、必要に応じて専門家のサポートを受けることを検討してみてください。

 

また、浮気や不倫によって傷ついた関係を修復するのは容易ではありませんが、不可能ではありません。カウンセリングを通じて、自身やこれまでの人生について一貫性のある新たな解釈を与えることで、関係の再構築が可能になることもあります。

 

日本性科学会の調査が示すように、現代の日本社会ではセックスレスが増加傾向にあります。しかし、この問題に対する理解と適切なアプローチによって、多くのカップルが満足のいく関係を取り戻すことができるのです。夫婦関係は常に変化し続けるものであり、その変化に柔軟に対応していくことが、長期的な関係を維持する鍵となるでしょう。