事実婚と法律婚の違い 定義と解説 メリットとデメリット

事実婚と法律婚の違い

事実婚と法律婚の違い
定義と基本的な違い
事実婚とは、婚姻届を提出せずに夫婦としての共同生活を送る関係を指します。法律上の手続きを行わないため、戸籍上は夫婦として認められませんが、実質的には夫婦と同様の生活を営んでいます。
一方、法律婚は、婚姻届を提出し、法律上の手続きを経て正式に夫婦として認められる関係です。これにより、戸籍上も夫婦として登録されます。
法的効果と権利
法律婚には以下のような法的効果と権利があります:

  • 戸籍の統一:夫婦は同じ戸籍に入り、同じ姓を名乗ることができます(民法750条)。
  • 相続権:配偶者は法定相続人となり、相続権を持ちます(民法890条)。
  • 嫡出子の認定:婚姻中に生まれた子供は嫡出子として認められます(民法772条)。
  • 税制上の優遇:配偶者控除などの税制上の優遇措置が受けられます。

事実婚の場合、これらの法的効果は一部制限されます:

  • 相続権の欠如:事実婚の配偶者は法定相続人とならず、遺言や贈与による手続きが必要です。
  • 子供の親権:事実婚の夫婦間に生まれた子供は非嫡出子とされ、母親が単独で親権を持つことが一般的です。
  • 税制上の制約:配偶者控除などの税制上の優遇措置は受けられません。

メリットとデメリット
事実婚のメリットには以下の点が挙げられます:

  • 夫婦別姓の維持:夫婦がそれぞれの姓を維持できるため、職業上の理由や個人のアイデンティティを尊重できます。
  • 柔軟な生活スタイル:法律婚に比べて柔軟な生活スタイルを選択できるため、個々のライフスタイルに合わせやすい。

デメリットとしては:

  • 法的保護の欠如:相続権や税制上の優遇措置が受けられないため、法的保護が不十分です。
  • 子供の親権問題:子供の親権が母親に限定されるため、父親が親権を持つためには認知手続きが必要です。

法律婚のメリットには以下の点が挙げられます:

  • 法的保護の充実:相続権や税制上の優遇措置が受けられるため、法的保護が充実しています。
  • 子供の親権の共有:夫婦共同で親権を持つことができ、子供の法的地位も安定します。

デメリットとしては:

  • 姓の変更:夫婦のどちらかが姓を変更する必要があり、これが職業上や個人のアイデンティティに影響を与えることがあります。

事実婚の現状と社会的背景
日本では、事実婚を選択するカップルが増加しています。特に、夫婦別姓を希望するカップルや、法律婚に対する抵抗感を持つ人々が事実婚を選ぶ傾向があります。また、同性カップルが法律上の結婚が認められていないため、事実婚の形態を取ることもあります。
事実婚のカップルに対する法的保護を求める声も高まっており、愛知県の大村知事が国に対して事実婚のカップルにも子供の共同親権を認めるよう要請するなどの動きも見られます。
結論
事実婚と法律婚にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、個々のライフスタイルや価値観に応じて選択することが重要です。事実婚を選ぶカップルが増える中で、法的保護の拡充が求められています。自分に合った結婚の形を選ぶためには、両者の違いを理解し、慎重に検討することが必要です。