マリッジブルーは単なる結婚前の緊張感ではなく、深刻な心理的症状を伴うことがあります。多くの場合、以下のような症状が現れます。
これらの症状が重なると、「本当にこの人と結婚して大丈夫だろうか」という疑問が生まれ、離婚を考えるきっかけになることがあります。特に女性の場合、結婚式の準備が本格化する時期に症状が強まる傾向があり、男性も約半数がマリッジブルーを経験するというデータがあります。
マリッジブルーの症状が重篤化すると、うつ病に似た状態になることもあり、専門家のケアが必要になるケースもあります。このような状態で冷静な判断ができなくなり、衝動的に離婚を考えてしまうことも少なくありません。
マリッジブルーが単なる一時的な不安から離婚危機にまで発展する主な原因には、以下のようなものがあります。
アメリカ・カリフォルニア大学の研究によると、結婚前に相手への不安があるカップルは、そうでないカップルに比べて4年後の離婚率が高いことが分かっています。不安がないと回答していたカップルの離婚率が男性9%・女性8%だったのに対し、不安があると答えた場合は男性14%・女性19%が離婚しているというデータもあります。
マリッジブルーに陥って離婚を考える前に、以下の対処法を試してみることをおすすめします。
不安や悩みを相手に正直に伝えることが最も重要です。感情的にならず、「私はこう感じている」という「I(アイ)メッセージ」を使うと効果的です。例えば「あなたは〇〇だから不安」ではなく「私は〇〇について不安を感じている」と伝えましょう。
漠然とした不安を具体化することで、対処しやすくなります。「何となく不安」ではなく、「経済面が不安」「子育てについて不安」など、具体的に言語化してみましょう。
客観的な視点からアドバイスをもらうことで、冷静な判断ができるようになります。
常に相手と一緒にいることでストレスが溜まることもあります。適度に一人の時間を持ち、自分を見つめ直す機会を作りましょう。趣味や運動など、自分がリラックスできる活動を取り入れることも効果的です。
将来の生活について具体的に話し合うことで、漠然とした不安を軽減できます。
これらを話し合い、お互いの価値観を理解し合うことが大切です。
マリッジブルーは多くの場合、一時的な症状です。しかし、以下のような状況では、離婚を真剣に検討した方が良い場合もあります。
マリッジブルーを言い訳にして浮気や不倫をする相手とは、将来的にも同様の問題が起こる可能性が高いです。「結婚相手を間違えた」と感じたとしても、それが不貞行為の正当化にはなりません。
ストレスや不安から暴力や暴言に発展するケースでは、早期に関係を見直す必要があります。これは一時的な感情ではなく、ストレス下での本性が現れている可能性が高いからです。
マリッジブルーという困難な時期に、パートナーが寄り添おうとしない場合、今後の人生の困難にも同様の対応をする可能性があります。結婚生活では様々な困難が訪れますが、それを二人で乗り越える姿勢が重要です。
通常、マリッジブルーは結婚式や新生活が始まる頃には自然と解消されることが多いですが、それが長期間続く場合は、より深い問題がある可能性があります。
離婚は人生の大きな決断です。マリッジブルーの最中は感情的になりがちなので、以下の点に注意しましょう。
注意すべき重要なポイントとして、パートナーが突然「マリッジブルーだから」と離婚を切り出してきた場合、それが本当の理由ではない可能性があります。マリッジブルーを口実として使い、実際には別の問題を隠している場合があるのです。
新たな恋愛関係が始まっていて、それを隠すためにマリッジブルーを理由にしている可能性があります。特に、マリッジブルーの典型的な症状が見られないのに突然離婚を切り出された場合は注意が必要です。
借金や経済的なトラブルを隠している場合があります。結婚生活が始まると経済状況が明らかになるため、それを避けるためにマリッジブルーを理由にすることがあります。
実は家族から強い反対を受けていて、それを直接伝えられないケースもあります。特に親との関係が強い場合、このような状況が生じやすいです。
このようなサインが見られる場合は、マリッジブルー以外の問題が隠されている可能性があります。対話を試みても解決しない場合は、専門家(カウンセラーや弁護士)に相談することも検討しましょう。
実際にマリッジブルーから離婚に至った人々の体験から学べる教訓は多くあります。以下に、典型的なケースとそこから得られる学びをご紹介します。
「結婚準備で忙しく、お互いの気持ちを話す時間がなかった。不安を感じても『大丈夫』と言い続け、結局爆発して婚約破棄になった。後から考えると、もっと早い段階で本音を話せていれば違う結果になったかもしれない。」(30代女性)
教訓: 不安や悩みは早い段階で共有することが重要。「大丈夫」と抑え込むと、後で大きな問題になる可能性がある。
「結婚すれば全てが上手くいくと思っていた。でも実際は些細なことで喧嘩が増え、マリッジブルーから抜け出せなくなった。結婚3ヶ月で別居し、1年後に離婚した。結婚前にもっと現実的な話し合いをすべきだった。」(20代男性)
教訓: 結婚に対する過度な期待は危険。事前に現実的な話し合いをし、お互いの価値観を確認することが大切。
「地元を離れて夫の転勤先に引っ越したが、友人もなく孤独感が強かった。マリッジブルーから始まり、うつ状態になってしまった。夫は仕事が忙しく、サポートも得られず、最終的に実家に戻り離婚した。」(30代女性)
教訓: 環境の変化に対する心構えと対策を事前に考えておくことが重要。また、パートナーのサポート体制も確認しておく必要がある。
「婚約中にマリッジブルーになり、一方的に婚約破棄をしてしまった。しかし、時間をおいて冷静になると後悔の気持ちが強くなった。カウンセリングを受け、自分の不安の原因を理解した上で、元パートナーに謝罪し、話し合いを重ねた結果、1年後に復縁して結婚。今は子どもも生まれ幸せに暮らしている。」(40代女性)
教訓: マリッジブルーは一時的な状態であることが多い。冷静になって考える時間を持ち、必要なら専門家のサポートを受けることで、関係を修復できる可能性もある。
これらの体験談から分かるように、マリッジブルーは多くのカップルが経験する普通の反応です。しかし、それをどう扱うかによって、結果は大きく変わってきます。早期に適切な対処をすることで、離婚を回避し、むしろ関係を強化するきっかけにもなり得るのです。
マリッジブルーが原因で婚約破棄や離婚に至った場合、法的にはどのような問題が生じるのでしょうか。特に慰謝料や損害賠償について理解しておくことが重要です。
婚約は法的な契約ではありませんが、婚約破棄には「正当な理由」が必要とされています。マリッジブルーは一般的に「正当な理由」とは認められず、以下のような法的責任が生じる可能性があります。
マリッジブルーを理由に一方的に婚約を破棄した場合、相手の精神的苦痛に対する慰謝料を請求される可能性があります。慰謝料の相場は30万円〜200万円程度で、婚約期間や準備状況によって変動します。
結婚式場やドレス、写真撮影などのキャンセル料、招待状の印刷費用など、実際に発生した費用の負担を求められることがあります。
婚約指輪などの高額な贈り物は、婚約破棄の場合に返還を求められることがあります。
結婚後にマリッジブルーが原因で離婚する場合は、以下の点に注意が必要です。
マリッジブルー自体は法的な離婚原因として認められにくいですが、それに伴う具体的な行動(例:暴言、暴力、不貞行為など)が離婚原因となることがあります。
短期間の婚姻でも、婚姻中に取得した財産は原則として分与の対象となります。特に新婚生活のために購入した家具や家電などの扱いが問題になることがあります。
結婚生活のために支出した費用(住居費、生活費など)の清算が必要になることがあります。
特に資産がある場合や再婚の場合は、婚前契約を結んでおくことで、万が一の場合のトラブルを回避できます。
感情的になると法的トラブルに発展しやすいため、可能な限り冷静に話し合いを進めることが重要です。
マリッジブルーが深刻で離婚や婚約破棄を考える場合は、早めに弁護士やカウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。
婚約破棄や離婚に至る場合は、慰謝料や財産分与などについて書面で合意しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
マリッジブルーは心理的な問題ですが、それが原因で法的な問題に発展することもあります。感情的になりがちな時期だからこそ、冷静な判断と適切な対応が求められます。