「成田離婚」という言葉をご存知でしょうか?これは、新婚旅行から帰ってきたタイミングで離婚することを指す言葉です。楽しいはずの新婚旅行が終わった直後に離婚を決意するというのは、一見矛盾しているように思えますが、実は決して珍しいケースではありません。
新婚旅行は、結婚後初めて夫婦として長時間一緒に過ごす機会となります。普段の生活では見えなかった相手の一面が見えたり、価値観の違いが浮き彫りになったりすることで、「この人と一緒に人生を歩んでいけるだろうか」と疑問を抱くきっかけになることがあるのです。
特に海外旅行の場合は、言葉の壁や文化の違い、予期せぬトラブルなどのストレス要因が多く、お互いの本性が出やすい環境となります。そのため、新婚旅行という幸せなはずの時間が、皮肉にも離婚の引き金になってしまうことがあるのです。
新婚旅行中に離婚を考えるようになる原因はさまざまですが、主なものとして以下が挙げられます。
これらの原因が重なることで、「この人とこれから一生を共にするのは無理だ」という結論に至ってしまうケースが少なくありません。
成田離婚に至るカップルには、いくつかの共通した特徴があります。
まず、結婚前の交際期間が比較的短いケースが多いようです。お互いをよく知らないまま結婚し、新婚旅行で初めて長時間一緒に過ごすことで、予想外の発見をしてしまうのです。
また、結婚前に同棲経験がないカップルも成田離婚のリスクが高いと言われています。日常生活での相手の習慣や行動パターンを知らないまま結婚し、旅行先で初めて「素」の部分を見ることになるからです。
さらに、コミュニケーション不足も大きな要因です。意見の相違や不満があっても、それをうまく伝えられず、溜め込んでしまうカップルは、旅行中のちょっとしたきっかけで爆発してしまうことがあります。
「新婚旅行は楽しいはず」という思い込みも問題です。高すぎる期待値を持っていると、現実とのギャップに失望し、関係性に疑問を持ってしまうことがあります。
成田離婚を防ぐためには、事前の準備が非常に重要です。以下のポイントを意識することで、新婚旅行でのトラブルを最小限に抑えることができます。
1. 結婚前に短期旅行を経験する
結婚前に一緒に旅行する経験を持つことで、お互いの旅行スタイルや好みを知ることができます。国内旅行から始めて、徐々に海外旅行にチャレンジするのも良いでしょう。
2. 旅行の計画を一緒に立てる
旅行の計画段階から二人で協力して行うことで、お互いの希望や優先順位を理解し、妥協点を見つける練習になります。また、旅行中に「自分は何も決められなかった」という不満を防ぐことができます。
3. 予算についてオープンに話し合う
旅行にかける総予算だけでなく、宿泊費、食事代、お土産代など細かい項目ごとの予算も事前に決めておくと良いでしょう。金銭感覚の違いによるトラブルを避けることができます。
4. 余裕のあるスケジュールを組む
予定を詰め込みすぎると、時間に追われてストレスが溜まりやすくなります。移動時間や休憩時間を十分に確保し、予期せぬトラブルにも対応できる余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
5. トラブル対応の役割分担を決めておく
道に迷った時や予約に問題があった時など、想定されるトラブルに対して、誰がどう対応するかをある程度決めておくと安心です。お互いの得意分野を活かした役割分担ができると理想的です。
新婚旅行中に「この人と結婚して大丈夫だろうか」と疑問を感じることがあっても、すぐに離婚を決断するのではなく、以下のような対処法を試してみましょう。
1. 一人の時間を確保する
ずっと一緒にいることでストレスが溜まっている場合は、あえて少しの間一人の時間を作ることも大切です。ホテルでゆっくり休んだり、それぞれの興味に合わせて別行動をとったりすることで、リフレッシュできることもあります。
2. 感情的にならずに話し合う
不満や不安を感じたら、その場で感情的に伝えるのではなく、落ち着いた状態で話し合うようにしましょう。「〇〇な時に△△と感じた」というように、具体的な状況と自分の感情を分けて伝えると、相手も受け入れやすくなります。
3. 旅行の目的を再確認する
新婚旅行の目的は「二人の絆を深めること」です。観光地を巡ることや写真を撮ることよりも、二人の時間を楽しむことが最優先だということを思い出しましょう。
4. 小さな成功体験を積み重ねる
トラブルを二人で乗り越えた経験は、夫婦の絆を強くします。小さな困難を一緒に解決することで、「この人と一緒なら大丈夫」という信頼感を築いていきましょう。
5. 旅行後の冷静な判断を心がける
旅行中の特殊な環境でのトラブルだけで判断せず、日常生活に戻ってから冷静に考えることも大切です。旅行中は疲れやストレスで判断力が鈍ることもあります。
もし新婚旅行後に離婚を決意した場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。特に結婚したばかりの場合は、財産分与や慰謝料などの問題は比較的シンプルになりますが、基本的な知識を持っておくことは重要です。
協議離婚の場合
両者が離婚に合意している場合は、市区町村役場に離婚届を提出することで離婚が成立します。離婚届には、本人と成人の証人2名の署名が必要です。
外国籍の方が含まれる場合は、本国での有効性を確認する必要があります。日本で離婚手続きをしても、本国では離婚が認められないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
調停離婚・裁判離婚の場合
相手が離婚に同意しない場合は、家庭裁判所での調停や裁判が必要になります。ただし、結婚してすぐの離婚の場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」の立証が難しいケースもあります。
在留資格への影響
外国籍の配偶者が「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている場合、離婚後14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要です。在留資格の変更や更新にも影響が出る可能性があります。
財産分与と慰謝料
結婚してすぐの離婚の場合、共有財産は少ないことが多いですが、結婚式や新婚旅行の費用負担などをめぐってトラブルになることもあります。また、一方的な理由での離婚の場合、慰謝料が発生する可能性もあります。
離婚を考える場合は、感情的にならず、法的な手続きや権利について正確な情報を得た上で判断することが大切です。必要に応じて、弁護士や専門家に相談することをおすすめします。
新婚旅行で問題が発生し、関係修復が難しいと感じた場合、すぐに離婚を選択する前に、カップルカウンセリングの利用を検討してみてはいかがでしょうか。日本ではまだ馴染みが薄いですが、欧米では一般的な選択肢となっています。
カウンセリングのタイミング
理想的には、問題が深刻化する前、つまり新婚旅行前や結婚前から予防的にカウンセリングを受けることです。しかし、新婚旅行で問題が表面化した後でも、関係修復のためのカウンセリングは効果的です。
カウンセリングで得られるメリット
カウンセリングの選び方
カウンセラーを選ぶ際は、夫婦関係や結婚生活に特化した専門家を選ぶことが重要です。また、両方が話しやすいと感じる雰囲気かどうかも大切なポイントです。初回のセッションで合わないと感じたら、別のカウンセラーを探すことも検討しましょう。
オンラインカウンセリングの活用
忙しい生活の中でカウンセリングの時間を確保するのが難しい場合は、オンラインカウンセリングも選択肢の一つです。自宅にいながら専門家のアドバイスを受けることができ、時間や場所の制約が少ないというメリットがあります。
カップルカウンセリングは、「問題のあるカップル」だけのものではありません。むしろ、関係をより良くしたい、長続きさせたいと考えるカップルこそ、積極的に利用すべきサービスです。新婚旅行で見えた課題を、関係強化のチャンスと捉え、専門家の助けを借りながら乗り越えていくことで、より強い絆を築くことができるでしょう。
厚生労働省:家族・夫婦関係の相談窓口一覧(公的な相談窓口情報)
新婚旅行でのトラブルを避け、楽しい思い出を作るためには、旅行の形態選びも重要です。特に、個人で全てを手配する「フリープラン」よりも、ある程度サポートのある「ツアー」を選ぶことで、成田離婚のリスクを下げることができます。
ツアー選びのメリット
おすすめのツアータイプ
ツアー選びの注意点
ツアーを選ぶ際も、二人の希望や性格を考慮することが大切です。例えば、自由時間が少ないツアーは、自分のペースで観光したい人にはストレスになることも。また、グループ行動が苦手な人には、プライベートツアーや個人向けのアレンジプランを検討するなど、柔軟な対応が必要です。
ツアー会社選びも重要なポイントです。口コミや評判をチェックし、特に新婚旅行に強い会社を選ぶと安心です。また、万が一のキャンセルや変更にも対応できるよう、キャンセルポリシーや保険についても確認しておきましょう。
日本旅行業協会:信頼できる旅行会社の選び方(旅行会社選びの参考情報)
新婚旅行は人生の大切な思い出となる旅です。「成田離婚」という言葉に怯えることなく、二人の絆を深める素晴らしい機会として、しっかりと準備して臨みましょう。トラブルがあっても、それを乗り越える経験が、これからの結婚生活の糧となるはずです。